Health 糖尿病攻略

【徹底解説】カーボカウントのすすめ【基礎~応用法・メリット】


 

今回はインスリン療法のテクニックのひとつである

「カーボカウント」という考え方について解説します。

 

糖尿病の治療法として代表的なのが

「食事療法」「インスリン療法」の2つです。

 

食事療法として有名なのが「糖質制限」です。

これは血糖値上昇の直接的な原因になる「糖質」の摂取量を減らす、
または極力摂取しない手法です。

 

ダイエットの一環としても有名ですので、
知っている・実践しているという方も多いのではないでしょうか?

 

しかし、糖質制限を行う中でこんな悩みがあるかと思います。

 

「健康のためとはいえ、好きなものを我慢し続けるのはキツイ...」

「食事の"自由度"が下がる...」

「ごはんが楽しくない...」

 

つまり、
過度な糖質制限は食事本来の楽しみを奪ってしまう可能性あります。

 

 

また、インスリン療法においては「固定値打ち」という方法があります。

これは食前インスリン注射の単位数を予め決めた値で固定するというやり方です。

 

特に糖尿病発症初期の方はこの方法を採用している場合が多い印象です。

一見、簡単で確実なやり方に感じられますが、こんな悩みがあります。

 

「インスリン単位数に合わせてメニューを考えないといけない...」

「友達とのランチや旅行先でメニューが変わると対応しきれない...」

「結局、食事の"自由度"が下がってしまう...」

 

つまり、固定値打ちで高精度な血糖コントロールを目指す場合、

食事の"自由度"を犠牲にしてしまう可能性があるのです。

 

 

そんな糖尿病治療に関する悩みを解決し、

食事の"自由度"向上と良好な血糖コントロールの両立

が期待できるのが 「カーボカウント」 です!

 

【こんな方におすすめ】

✔ インスリン療法を必要とする糖尿病患者さん

✔ 「固定値打ち」以外の手法を学びたい方

✔ 血糖コントロールと「食事の"自由度"向上」を両立させたい方

✔ ダイエット・食生活改善に応用してみたいという方

 

みっくん
本記事ではカーボカウントの計算方法や応用方法に加え、メリットと注意点について詳しく解説します。

 

 

「カーボカウント」とは

定義

カーボカウント

食事に含まれる「炭水化物(カーボ)」の量を計算(カウント)することで

必要なインスリン量を算出し、食後血糖値をコントロールする方法

 

炭水化物は英語で「carbohydrates(カーボハイドレイト)」といい、
これを略して「カーボ」と呼びます。

 

カーボカウントによって、1食に含まれる炭水化物の量を把握し、

それを代謝するために必要なインスリン量を計算することができます。

 

 

なぜ炭水化物に注目するのか

炭水化物にはこんな特徴があります。

① 食事の総カロリーの50~60%を占める

② 他の栄養素よりも消化・吸収が早い

➡ 食後血糖値に大きな影響を及ぼす栄養素!

 

食事療法やダイエットで炭水化物量が重視される理由はここにあります。

カーボカウントでは「"食後血糖値のカギを握る" 炭水化物」に着目しています。

 

 

 

計算方法

カーボカウントを実践するにあたっての計算方法について、

ステップごとに解説します。

 

基本計算 :  "1カーボ" = 炭水化物10g

カーボカウントを行う上では「カーボ」という単位を用います。

【基本計算式】

 "1カーボ" = 炭水化物10g

 

この計算式を前提に以降の内容を解説します。

 

【補足】

栄養指導で利用する「食品交換表」では 1 単位=80kcal と定めています。

「80kcal」は炭水化物 20gに相当します。
( 炭水化物1g = 4kcal ➡ 20g = 80kcal )

「1カーボ = 炭水化物10g」とすることで、

食品交換表を参考にした際の計算をカンタンにする目的があります。

 

 

① 「インスリン / カーボ比」

インスリン / カーボ比 = 1日の総インスリン量 ÷ 50

 

インスリン / カーボ比 とは、

「 1カーボを代謝するのに必要な"超速効型"インスリンは何単位か 」を示す値です。

 

つまり、1カーボあたりに必要なインスリン単位数を算出できます。

 

例題を用いて解説します。

(例) 1日の総インスリン量 = 50単位 の場合

【超速効型】 朝食:6単位 , 昼食:8単位 , 夕食:8単位

【  持続型  】 就寝前:28単位

 

※総インスリン量は「超速効型+持続型」を指します。

※あくまで一例です。

 

上記の例の場合、

➡ インスリン / カーボ比 = 50単位 / 50 = "1単位"

➡ 1カーボ(=炭水化物10g)を代謝するのに必要な超速効型インスリンは "1単位"

となります。

 

1食が2カーボなら2単位、5カーボなら5単位を注射する といった計算です。

 

もちろん個人差のある値ですので、

ご自分の「インスリン / カーボ比」を算出してみてください!

 

 

② 「インスリン効果値」

「インスリン効果値」 = 1800 / 1日の総インスリン量

 

インスリン効果値 とは、

"超速効型"インスリン1単位でどれくらい血糖値が下がるか 」を示す値です。

 

つまり、インスリン1単位でどれくらいの効果が期待できるかを算出することができます。

 

計算例は下記の通りとなります。

(例) 1日の総インスリン量 = 50単位 の場合

➡ インスリン効果値 = 1800 / 50単位 = 36mg/dl

➡ 超速効型インスリン1単位で 血糖値が30~40mg/dl下がる

【※「血糖値が下がる」とは、食後3時間を想定したものです。ご注意ください。】

 

上記計算例の場合、

血糖値=200mg/dl ➡ 120mg/dl付近まで調整したければ、

超速効型インスリンを「2単位」追加打ちする という計算になります。

 

こちらも①同様に個人差のある値ですので、

ご自分の「インスリン効果値」を算出してみてください!

 

 

③ 食前に注射するインスリン量 = ① + ②

ここまでの内容を一度おさらいします。

おさらい

① インスリン / カーボ比 = 1カーボ代謝のために何単位必要か?

② インスリン効果値 = 1単位で血糖値がいくつ下がるか?

 

この2つを足し合わせることで計算できるのが、

「食前に注射するインスリン単位数」です。

この値こそが食後血糖値をコントロールするうえで最も重要です!!!

 

では、例題を交えながら理解していきましょう。

例題

 【1日の総インスリン量 = 50単位 の場合】

① インスリン / カーボ比 ⇒ 1カーボ(炭水化物10g)あたり "1単位"

② インスリン効果値   ⇒ 1単位で血糖値が "約40mg/dl" 下がる

 

Q.  ①「食前血糖値140mg/dl」で「5カーボ分」食べたい!
②「食後血糖値を100mg/dlに調整したい」

➡  食前の超速効型インスリンは何単位必要でしょうか?

 

この場合の回答は以下の通りです。

A.  ① : 5単位 + ② : 1単位 = 6単位

 

このように、「インスリン / カーボ比」、「インスリン効果値」を把握することで、

食前血糖値・食事内容に応じた柔軟なインスリン単位数の調整によって、
高精度で食後血糖値をコントロール
できます!

 

これがカーボカウントの基本的な考え方と計算法です。

 

 

応用方法

基本的な計算方法マスターすれば、さらに応用的なコントロールが可能です!

 

低血糖時の補食

糖尿病と向き合う中で大きな問題のひとつが「低血糖時の対処」です。

低血糖時に補食を摂りすぎてしまい、
逆に高血糖に転じてしまった経験がある方は多いのではないでしょうか?

(私もいまだに何度かあります。。。)

 

こんな時、カーボカウントを応用すれば「補食量の目安」がわかります。

 

 

ここまでの例題で扱った「1日の総インスリン量=50単位」の患者さんの場合、

インスリン / カーボ比 = 1単位
➡ 1単位で 1カーボ(炭水化物10g)に相当

インスリン効果値   = 30~40mg/dl
➡ 1単位で 血糖値=30~40mg/dlに相当

➡ 1カーボ(炭水化物10g)で血糖値が30~40mg/dl上昇する

 

上記のように応用できます。

 

つまり、低血糖時は回復させたい血糖値に応じて、

"カーボ数"を基準に補食することができます!

【※急激な低血糖時など、緊急時は量に関係なく直ちに補食してください】

 

 

インスリン注射の「タイミング」と組み合わせる

注射の「量」を決めるカーボカウントの実践に加えて、

注射の「タイミング」を工夫すれば
さらに効果的な血糖コントロールが目指せます!

 

「タイミング」については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「タイミング」
食後血糖値のカギを握る!インスリン注射の「タイミング」

続きを見る

 

 

 

カーボカウントのメリット

① 血糖コントロールの精度向上が期待できる

カーボカウントではインスリン単位数の調整が可能です。

 

 ・"1カーボ"に対応するインスリン量

 ・"血糖値"に対応するインスリン量   

 

のそれぞれについて単位数が細かく調整できるため、

食事内容や食前・食後血糖値に応じた
より精度の高い血糖コントロールが期待できます

 

 

② 食事の"自由度"が向上する

"固定値打ち"の場合、

「固定されたインスリン単位数に合わせて食事内容を調整する」
というアプローチになります。

 

「食事でコントロール」するため労力がかかることに加えて

食事の"自由度"と"楽しみ"は半減します...

 

一方、カーボカウントは

「食事に合わせてインスリン単位数を調整」します!

 

インスリン単位数でコントロールする」という考え方になるため、

食事内容は個人の好みやその時の気分をある程度反映できますし、

単位数は「食事内容」と「食前血糖値」に応じて柔軟に対応できます。

 

つまり、食事の"自由度"向上につながります!

 

カーボカウントをマスターすることで、

家族や友人との食事や、旅行先での食事なども思いきり楽しめます!

 

 

③ カーボ数を参考にする「情報源」が多い

栄養指導で使用する「食品交換表」では、1 単位=80kcal と定めています。

この「80kcal」は炭水化物 20gに相当するため、

食品交換表に記載されている食材と量を参考に、1食中のカーボ数を計算できます。

 

また、スーパーやコンビニで購入できる食品のほとんどには

「栄養成分表示」として炭水化物量が表示されているのでこちらも参考になります。

 

外食の場合も、サイトやメニュー表で栄養成分を表示しているお店が多いため、

これらの情報も参考になります。

 

このように、参考となる「情報源が多い」点もメリットのひとつです。

 

 

注意点

① 「注射で調整できるからどれだけ食べても平気」ではない!

「カーボカウントをマスターすれば、

どれだけ食べても血糖値をコントロールできるじゃん!」

 

そう感じてしまいがちですが、この考え方は非常に危険です!

 

炭水化物の摂取量が増えるとそれに比例してインスリンの投与量も増え、

結果的に体への負担も大きくなってしまいます。

 

カーボカウントを正しく実践していても、

炭水化物の過剰摂取が危険であることに変わりはありません!

 

このことを大前提としてカーボカウントに取り組んでみてください。

 

 

② 炭水化物と他の栄養素のバランスが重要!

「体重を減らしたい」 「インスリン注射の量を減らしたい」

 

そう思った結果、炭水化物を極端に減らし、タンパク質や脂質でおなかを満たす

という考えに走りがちですが、これも危険です!

 

摂取する栄養がタンパク質や脂質に偏ってしまうと、

脂質異常症などの生活習慣病のリスクが高まります。

 

炭水化物・タンパク質・脂質といった主要栄養素をバランスよく摂取し、

カーボカウントを活用することで健康的で楽しい食生活を目指しましょう!

 

 

③ 低血糖に注意!

いい結果を出そうとインスリン単位数をムリに調整しすぎてしまうと、

かえって低血糖のリスクが高まります

 

まずは少ない単位数から始めていき、

分析を重ねて様子を見ながら少しづつ単位を増やすという手順がベストです!

 

また、炭水化物の量が同じでも、

食材の「GI値」 が低い場合はインスリンの単位数に注意が必要です!

"GI値"は、「食後血糖値の上昇スピードを示す値」を指します。

「高」GI値 ➡ 食後血糖値は 「急上昇」

「低」GI値 ➡ 食後血糖値は 「緩やかに上昇」

 

つまり、同じ「1カーボ」で 同じ単位数を注射した場合でも、

GI値が低い場合は低血糖のリスクがあるのです

 

GI値については、こちらの記事で詳しく解説しています。

「GI値」攻略
【必見!】血糖値と集中力を"陰で操る"「GI値」【最強のおやつも紹介】

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定期的な分析が重要!

カーボカウントで求めたインスリン単位数が本当に自分に合っているのか、

定期的に分析することがとても重要です!

 

血糖コントロールの分析については
「FreeStyleリブレ」という測定ツールがおすすめです!

 

以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください!


 

 

まとめ

最後にここまでの内容をおさらいします。

 

カーボカウントとは

✔ 食事の"自由度"向上と良好な血糖コントロールが両立できる

✔ 定期的な分析・調整が重要!

✔ メリットと注意点を正しく理解しよう!

✔ 適切な栄養バランスで食事することが大前提!

 

いかがだったでしょうか?

本記事の内容を理解して頂き、良い結果に結びつくことができれば幸いです。

 

糖尿病は時間をかけてコツコツと向き合う病気です。

収集した情報や得た学びをどれだけ闘病生活に還元できるかが大切です。

 

本記事がその一助になることができればとてもうれしいです。

では、また別の記事でお会いしましょう!

 


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